こんにちは、TKです。
今回ご紹介するのは、東野圭吾さんの『虚像の道化師』です。
当作品では、天才物理学者・湯川が独自の視点によって様々な謎を解き明かしていくという物語が7作品描かれております。
簡単な感想から言うと、オチが綺麗な話が多い点が印象的でしたね。
また、ガリレオシリーズらしく科学的な話がふんだんに盛り込まれた物語も多かったので、当シリーズが好きな方ならきっと楽しめるでしょう。
なお、本作品はガリレオシリーズの7作目です。1作目の『探偵ガリレオ』から順に読むと、より楽しめます。
今回の記事では、あらすじ・登場人物・感想を述べていきますが、ネタバレになるような情報はほぼほぼ無いので、安心して読み進めてください。
『虚像の道化師』の詳細
作品名 | 虚像の道化師 |
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著者 | 東野圭吾 |
発売日 | 2012年8月10日 |
ページ数 | 475(文庫) |
あらすじ
私は人殺しです。
自首する男が話す殺害方法は、送念という極めて非科学的なものであった。
当事件の扱いに困っていた警察であったが、湯川は自身の知見を駆使し、真相へ近づいていく。
オカルト、異常性を含んだ美学、ほのぼのとした日常といった多種多様な見所がある短編集7作品、ご堪能あれ。
主な登場人物
湯川学(ゆかわまなぶ)
帝都大学理工学部物理学科第十三研究室の助教授。
豊富な知見を蓄えており、しばしば草薙の捜査を助ける。
子供が苦手。
草薙俊平(くさなぎしゅんぺい)
警視庁捜査一課。
難航する捜査の解明を、しばしば湯川に依頼している。
湯川とは大学の同期。
内海薫(うつみかおる)
若手の女性刑事で草薙の後輩。
草薙班に所属する。
気の強い性格であり、湯川の淡々とした受け応えに怯まない。
女性ならではの洞察力に優れており、度々それが真相に近づく助けとなる。
感想
では、短編別に淡々と感想を述べていきます。
第一章 幻惑す
送念という非科学的な力によって、人を殺してしまった男の話が描かれております。
科学的な話が多く盛り込まれており、まさにガリレオシリーズといった感じの内容でしたね。
また、ちょっぴり切ないシーンもありましたので、個人的にはその辺りが印象に残っています。
第二章 透視す
透視ができるホステスが、何者かによって扼殺される話が描かれております。
このホステスが扱うトリックはなかなか手が混んでおり、見応えがありましたね。
また、「人が殺人を犯すのは、ほかに選択肢がないからだ。度胸のあるなしは関係がない」というセリフが出てくるのですが、なんだか印象に残りました。
ラストは悲しくて美しいので、ぜひ堪能してほしいです。
第三章 心聴る
謎の耳鳴りに悩まされる女性の話が描かれております。
これはまだ現実世界では再現できないような話が扱われていますので、ちょっとビックリしましたね。
ただ、全くあり得ないという話でもありません。
ラストはほのぼの感が演出されており、ほっこりします。
第四章 曲球る
野球選手の奥さんがダンベルで撲殺される話が描かれております。
印象的な科学の話はありませんが、愛に溢れるストーリーでしたので、個人的には好きな内容でした。
あと、「限界までチャレンジするのは甘え」的な発言があるのですが、なんだか凄く印象に残りました。
この言葉に心底共感したというわけではありませんが、芯のある美学を見れたような気がしたから、印象に残ったような気がします。
第五章 念波る
双子が送り合うテレパシーによって、事件が早期に発覚するという話が描かれております。
まあ、特に強く印象に残るシーンはあまりなかったですね。
トリックの内容もそこまでグッとはきませんできた。
ただ、ラストの締め方は素晴らしいので、そこは良き点でしたね。
第六章 偽装う
別荘地にて老夫婦の死体が発見されるが、いろいろと不審な点があるという事件が描かれております。
これはですね、傑作と言っていいと思います。
科学的な話が多く盛り込まれており勉強になりますし、動機の内容も緻密で見応えがあります。
あと、オチがかなり素敵でして、胸がジーンとしました。
第七章 演技る
巧妙な演技によって警察を撹乱する話が描かれております。
このお話はですね、異常とも言える好奇心が根底にあってですね、なかなか感心させられました。
普通の人間には到底理解できない描写があるのですが、そこに美学のようなものも感じられるんですよ。
変だと言われようとも何かを追求する人間は輝いて見える、そう思わされました。
まとめ
今回は、『虚像の道化師』のあらすじ・感想について書いてみました。
いろんな見応えがある1冊に仕上がっておりますので、ぜひ読んでみてください。
では、以上となります。
最後まで見て頂き、ありがとうございました。