こんにちは、TKです。
今回ご紹介するのは、東野圭吾さんの『あなたが誰かを殺した』です。
当作品では、別荘地にて発生した殺人事件の真相を、加賀恭一郎が多様な情報から暴いていくという物語が描かれております。
簡単な感想から言うと、人を舐めてはいけないと思わせてくれる作品でした。
今回の事件の舞台は、都会から離れた別荘地です。
その別荘地には複数の家族が同時に訪れていて、その家族らは、皆で一緒にバーベキューをするような仲なんですね。
で、バーベキューが終わって暫くした後に、何人もの人間が殺されるという凄惨な事件が発生します。
その事件の真相を、加賀恭一郎が巧みに暴いていくわけですね。
僕自身、当作品のポイントは、嘘と傲慢にあると思っています。
嘘をついてもそれは必ずバレるし、傲慢な態度は必ず仇となるという、気を引き締めてくれる内容でした。
また、事件の真相それ自体も驚きと深さに満ちており、読み応え抜群の傑作と言えます。
今回の記事では、あらすじ・登場人物・感想を述べていきますが、ネタバレになるような情報はほぼほぼ無いので、安心して読み進めてください。
『あなたが誰かを殺した』の詳細
作品名 | あなたが誰かを殺した |
---|---|
著者 | 東野圭吾 |
発売日 | 2023/9/21 |
ページ数 | 309 |
あらすじ
「今すぐ警察に連絡して、ここに駆けつけるよういってもらいたい」
豪華な食事を食べ終えた男は、そう言いながら血のついたナイフを出してきた。
別荘地にて起きた連続事件はあっさり解決するかに思われたが、男は動機の詳細を語ろうとしない。
なぜ男は、縁もゆかりも無い家族達を襲ったのか?
類まれなる洞察力を駆使して、加賀恭一郎が事件の全貌を暴く。
主な登場人物
今作の登場人物はかなり多いですが、いずれも重要な人物なので、時々見返すなどして忘れないようにすることをオススメします。
桧川 大志(ひかわ たいし)
今回の事件の犯人。
事件を起こした後、近くのホテルでディナーを食べました。
食後に従業員を呼び、自分が犯人だから通報してくれと頼んでいます。
栗原 正則(くりはら まさのり)
公認会計士。
妻と娘がいます。
栗原 由美子(くりはら ゆみこ)
正則の妻。
青山の美容院を運営しています。
人の名前を覚えるのが得意です。
栗原 朋香(くりはら ともか)
正則の娘。
中学生です。
ミステリが好きで、当作品は彼女がミステリの映画を観ているシーンから始まります。
櫻木 洋一(さくらぎ よういち)
櫻木病院の院長。
独裁者と呼ばれています。
櫻木 千鶴(さくらぎ ちづる)
洋一の妻。
ショートの栗色の髪が印象的で、還暦前には見えない美しさを保っています。
櫻木 理恵(さくらぎ りえ)
櫻木家の一人娘。
たぶん25歳です。
金髪に派手なネイルをしていた時期もあります。
親の金でショッピングをしまくっており、甘やかされて育ったという印象です。
的場 雅也(まとば まさや)
理恵の婚約相手。
見た目が美しい静枝に対して、ちょっぴり好意を抱いている。
山之内 静枝(やまのうち しずえ)
東京に住んでいましたが、夫の死をきっかけに別荘地に移り住みました。
夫は不動産経営に成功した資産家で、六年前に胃癌で亡くなっています。
若くはないですが、妖艶な雰囲気のある美人です。
鷲尾 春那(わしお はるな)
静枝の姪。
別荘地で起きた事件の検証会に、加賀恭一郎を呼ぶキッカケになった人物です。
当作品において語り手的な役割を担っています。
鷲尾 英輔(わしお えいすけ)
春那の夫。
医者です。
高塚 俊策(たかづか しゅんさく)
70代。
会社を複数経営しています。
金と人脈があることから、周りからごまをすられています。
高塚 桂子(たかづか けいこ)
俊策の妻。
誕生日間近であり、別荘地にて、周りから祝われることをわかっている様子。
ただ、周りは機嫌取りに付き合っているだけという印象です。
小坂 均(こさか ひとし)
高塚俊作の腰巾着。
俊作には頭が上がらない関係でして、いつも俊作の機嫌を伺う様子がみっともなく見えます。
小坂 七海(こさか ななみ)
均の妻。
夫が俊作に媚びへつらう様子を見て、辟易しています。
小坂 海斗(こさか かいと)
均の息子。
小学生です。
金森 登紀子(かなもり ときこ)
加賀恭一郎シリーズではお馴染みの看護師。
春那の先輩であり、加賀が今回の事件に介入するパイプ役を果たします。
加賀 恭一郎(かが きょういちろう)
警視庁刑事部捜査第一課所属。
今回は刑事としてではなく、金森の紹介を通じて事件に関与しています。
真相を解明するための言動には、一切の妥協を許さない性格です。
感想
では、淡々と感想を述べていきます。
嘘と傲慢は捨てようと思った
冒頭でも述べましたが、当作品では嘘と傲慢に焦点が当たっています。
嘘は必ず見抜かれるし、傲慢さは身を滅ぼす。
そんな人生の真理を、真相の解明と共に教えられたような気がします。
こんな感じでですね、価値観に影響を与えてくれる作品が僕は好きなんですよ。
なんでかと言いますと、読み終わった後に自分自身が深みを増すというか、より大人になったような感覚に包まれるからです。
つまり、当作品は読後感をしっかり堪能できますので、読み終わった後の時間も大切にしている人には特にオススメできますね。
登場人物はメモっておいた方がいいかも
当作品の特徴としては、登場人物の多さが挙げられます。
で、その誰もが何かしらの役割を果たしています。
したがって、それぞれの人物を簡単にでもいいので把握しておかないと、理解が追いつかなくなるかもです。
ちなみに僕はメモをしながら読んだのですが、それでも完全には展開を理解しきれませんでしたね。
大枠は理解できましたけど、細かい部分については結構混乱します…。
まあ、間違いなく初心者向けの作品ではありませんね。
ただ、それゆえに読み応えはかなりありますので、ミステリを相当に読み込んでいる方にはオススメです。
陳腐な言葉は、決して吐いてはいけないと思った
あるシーンを見て、陳腐な言葉を吐かないようにしようと改めて思わされました。
では、陳腐な言葉を投げかけられた際の心理を描写したシーンを、抜粋してご紹介します。
この人のように長く生きてきても、精神の成熟度はこの程度なのだなあ、と人間の愚かさを思い知らされた気分だった。
ちっとも心のこもっていない言葉が人をどれほど傷つけるかもわかっていないのだ。
出典:あなたが誰かを殺したp281
表面的な言葉を吐いても、それは大抵見抜かれるんですよね。
それどころか、相手をひどく傷つけることも多いので、改めて言葉の扱いには気をつけようと思いました。
終わったと思ったら、終わってない
これは東野圭吾さんの真骨頂とも言える特徴なのですが、当作品は最後の最後に「終わったと思ったら、終わっていない」という想いにさせてくれます。
最後の方に概ね真相が明らかになってですね、これで一件落着かなと読者は思うわけです。
ただ、そこからさらにもうひと展開あって、ラストは印象的なセリフで締めくくってくれています。
このラストに東野圭吾さん及び加賀恭一郎の真骨頂が詰まっておりますので、ぜひあなたの目で確かめてほしいです。
まとめ
今回は、『あなたが誰かを殺した』のあらすじ・感想について書いてみました。
やや登場人物が多く展開を理解するのが大変ですが、それゆえに読みごたえは抜群の作品でした!
深みのあるミステリーが好きな方なら、間違いなく楽しめるかなと思います。
では、以上となります。
最後まで見て頂き、ありがとうございました。