こんにちは、TKです。
今回ご紹介するのは、東野圭吾さんの『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』です。
当作品では、トラップハンドを舞台として、様々な女性の波瀾万丈な人生に、神尾武史が巧みに介入していくという物語が描かれております。
トラップハンドとは、ブラック・ショーマンシリーズの主人公である神尾武史が経営しているバーの名前です。
ちなみに、今回紹介しているのは当シリーズの2作品目でして、1作品目は『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』です。
『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』を読んだ感想を簡単に言うと、相当な読み応えがありました!
トラップハンドには様々な訳あり女性が訪れるんですけど、その訳を武史があらゆる手を駆使して解決していくんですね。
ちょっとした発言から真相に気がついたり、様々なテクノロジーを使ったり、大昔に披露していたマジックを利用したりと、引き出しの多さにはホント驚かされました。
また、本書は短編集となっていまして、計6つの話が収録されています。
「映像化するなら、連続ドラマにピッタリの構成だな」なんて思いながら読んでいました。
全て面白かったのですが、特に『続・リノベの女』は傑作でした。詳しい感想については、後述します。
今回の記事では短編ごとに感想を述べていきますが、ネタバレになるような情報はほぼほぼ無いので、安心して読み進めてください。
『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』の詳細
作品名 | ブラック・ショーマンと覚醒する女たち |
---|---|
著者 | 東野圭吾 |
発売日 | 2024/1/24 |
ページ数 | 347 |
感想
では、短編ごとに淡々と感想を述べていきます。
トラップハンド
トラップハンドというバーで、ある男女の会話が展開されるプロローグ的な話が描かれています。
かなり短めな話なので大どんでん返しみたいな展開は無いですが、面白かったですね。
あらすじを簡単に言うと、これから付き合う可能性がありそうな男女の間に、主人公である武史が巧みに介入していく感じですね。
トラップハンドとはどういう場所なのか、神尾武史はどんな人物なのか、といったことを端的に把握する目的で作られたイメージです。
リノベの女
金持ちの夫の遺産を相続した女が、部屋をリフォームするプランを立てている中で、ある衝撃の事実が明るみになるという話が描かれています。
結論から言うと、めっちゃ面白かったです。
リフォームの相談を受けているのは、神尾武史の姪の真世です。
で、なんだか客の女の様子がおかしいので、武史と一緒に素性を探ってみたら、まさかの事実が発覚します。
僕が好きなのは、その事実の背景です。
詳細はネタバレになるので言えませんが、なんだがエモーショナルな気持ちになりました。
また、武史のモラルが欠如した言動もいくつかあって、ところどころ笑える箇所もあります。
笑いあり涙ありのバランスが非常に良く、個人的にかなり心に残った作品でした。
マボロシの女
不倫相手が事故で亡くなってしまい絶望している女が、不倫相手の過去を探っていくという話が描かれています。
結論から言うと、まあまあ面白かったです。
主人公の女は妻子持ちのミュージシャンと不倫をしていたのですが、不運にもそのミュージシャンが交通事故で亡くなります。
ただ、そのミュージシャンのことがどうしても忘れられず、いろいろと彼の調べてしまうんですね。
そういったモヤモヤする日々を歩んでいる中で、親友がいろんな面から生活を助けてくれるのですが、最後にまさかの展開が待っています。
「こういう親友が1人いるだけで、人生を力強く歩んでいけるよなあ」と、前向きな気持ちになりましたね。
相続人を宿す女
「お腹の子には相続権がある」と、元夫の両親に主張する女の話です。
元夫は離婚後に事故で亡くなったのですが、当然離婚しているので、その女に相続権はありません。
ただ、お腹に宿した子どもが元夫の子であれば、その子には相続権が発生するわけです。
つまり、この話の論点は「お腹の子が本当に元夫の子なのか?」ということです。
また、関連する法律の話もたくさん出てきますので、結構話が複雑で難しいのですが、短編なので理解が追いつかなくなるということは無かったですね。
感想を言うと、めっちゃ深い話でした。「よくこんなの書けるなあ」と、感心しましたね。
「これぞ東野圭吾の真骨頂」と言える非常に深い話が展開されていますので、ぜひ読んでほしいです。
続・リノベの女
これは、タイトルからもわかる通り、リノベの女の続きとして書かれた短編です。
結論から言うと、めちゃくちゃ感動できました。
僕は感動しても涙が出てこない人間なので泣きはしませんでしたが、普通の涙腺をお待ちの方なら高確率で泣けると思います。
詳細を語るとネタバレになるのでザックリと表現すると、「続・リノベの女」では、家族愛の話が描かれています。
また、事が上手く運ぶようにさりげなくサポートする武史がホントに素敵で、惚れちゃいますね。
個人的にかなり心に残った短編ですので、出会えて良かったなと心の底から思います。
査定する女
この話では、エピローグ的な役割を果たしていた「トラップハンド」で登場した女が、再度登場します。
感想から言うと、なかなか良かったです。
一つ前の「続・リノベの女」があまりにも良すぎたので、ちょっと感動度は下がってる感じもありますが、単体で見ればとても良い作品だと思います。
タイトルにもある通り、人を査定する、つまりは結婚相手候補を査定する女が主人公なんですね。
で、女がやっと最高の男に巡り会えたところで、ある大きな転機にぶつかるという話が描かれています。
若干展開が大胆過ぎたのが引っかかりましたが、悪い作品ではありません。
どんな人間にも、あらゆる面があるんだと思わせてくれる良い内容でした。
まとめ
今回は、『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』のあらすじ・感想について書いてみました。
やはり個人的には「続・リノベの女」が最高でした。
ホントに素晴らしい内容に仕上がっていますので、ぜひ読んでほしいです。
また、武史の人物像を知っていた方がより没入できますので、前作の『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』から順に読むことをオススメします。
では、以上となります。
最後まで見て頂き、ありがとうございました。