こんにちは、TKです。
今回ご紹介するのは、東野圭吾さんの『あの頃の誰か』です。
当作品には、色とりどりの短編集が収録されております。
簡単な感想から言うと、良作とそれ以外が入り乱れている短編集でしたね。
『あの頃の誰か』には、以下8作品が収録されています。
- シャレードがいっぱい
- 玲子とレイコ
- 再生魔術の女
- さよなら『お父さん』
- 名探偵退場
- 女も虎も
- 眠りたい死にたくない
- 二十年目の約束
いずれの短編集も大きな共通点はなくてですね、色とりどりの内容になっているというイメージです。
面白いと思えるものもあれば、大して面白くないものもありましたね。
今回の記事では短編集ごとに簡単な感想を書いていきますが、ネタバレになるような情報はほぼほぼ無いので、安心して読み進めてください。
『あの頃の誰か』の詳細
作品名 | あの頃の誰か |
---|---|
著者 | 東野圭吾 |
発売日 | 2011年1月12日 |
ページ数 | 322 |
感想
では、淡々と感想を述べていきます。
シャレードがいっぱい
ちょっと鼻につく女「弥生」が、遺書を巡る争いを解決していくという物語になっています。
これは、なかなか面白かったですよ。
弥生はかなり生意気な発言を繰り返すのですが、その様子が結構面白くて見ていられます。
具体的には、以下のような記述があります。
はっきりいって弥生は時間にルーズだ。男との待ち合わせで、時間通りに行くことなど殆どない。全くない、といっても過言ではない。
それで怒るような男なら、こっちから願い下げだ。
出典:あの頃の誰かp10
なかなか生意気ですよね(笑)。
ただ、事件の真相に迫る様子には鋭さを見せるので、そのギャップが良いです。
東野圭吾さんらしい目まぐるしい展開もあるので、満足度は高い作品です。
玲子とレイコ
二重人格を持つ玲子という少女を、葉子という通りすがりの女性が救う話が描かれています。
これは、まさに東野圭吾さんらしい作品でしたね。
玲子はある男性を刺殺してしまうのですが、その事件の背景がかなり複雑でして、短編集と舐めてかかるとかなり混乱するでしょうね。
短い物語の中によくここまで複雑な状況を用意できるなぁと、感心しました。
また、真相がやや曖昧なのもグッドです。
詳細はもちろん書けないので、何が曖昧なのかはご自身の目でお確かめください。
再生魔術の女
望まれずに生まれた子どもたちを、経済的に余裕のある夫婦とマッチングさせている女の話が描かれております。
この説明だけだと、慈善事業をしている女の話に思えますが、そう単純じゃありません。
この女はある深い恨みを抱いておりまして、その恨みを晴らすために上記の事業に取り組んでいます。
感想を言うと、かなり良かったです。
徐々に真相が明らかになっていく様子がとても不気味で、没入感が大きい作品でした。
今回収録されている話の中でも、トップクラスに面白かったですね。
さよなら『お父さん』
これは簡単に言うと、『秘密』の要約版です。
『秘密』では、娘と妻が事故に合い娘だけが助かりましたが、その娘に妻の人格が乗り移っていたという物語が描かれています。
『さよなら『お父さん』』を書いた東野さんでしたが、内容に納得がいかなかったので、長編として『秘密』を書き上げたみたいですね。
たしかに、『さよなら『お父さん』』はちょっと内容が薄いので、読むなら『秘密』の方が断然オススメです。
名探偵退場
舞台が海外ですので、まるで海外ミステリーを読んでいるような雰囲気になる作品です。
内容なんですけど、そんなに面白くはなかったです。
「たとえ事件が解決されたとしても、事件が起きたという事実は当事者の後々の生活に深く食い込んでくる」という気づきを与えてはくれましたが、物語自体は微妙でした。
女も虎も
これは完全に、カイジの「姫と奴隷」でした。
「姫と奴隷」とは、1,2,3の番号の中から1つ選ぶと、ライオンか女が出てくるというゲームです。
それが端的に書かれているという感じで、まあまあの面白さでした。
あと、最後にオチがついているっぽいのですが、最初僕は意味がわかりませんでした・・・。
ただ、調べたら意味がわかりましたので、スッキリです。
眠りたい死にたくない
意識が朦朧としてる男の話です。
正直に言うと、今まで見てきた東野圭吾さんの作品の中でも、ワーストを争うくらいのデキでした(笑)。
大した展開がなかったので、面白くなかったですね。
二十年目の約束
子どもは絶対に作らないという夫の意図を探る女の話が描かれております。
感想から言うと、好きな内容でした。
人は過ちを犯した時、どんな態度で過ちと接するべきかという主張が、壮大なストーリーとともに示されています。
こういう、道徳的な内容が僕はグッとくるんですよね。
話の雰囲気は『麒麟の翼』に近いので、『麒麟の翼』が好きなら気に入ると思います。
まとめ
今回は、『あの頃の誰か』のあらすじ・感想について書いてみました。
酷評してしまった作品もありますが、楽しめる作品もありました。
まあ、熱を持ってオススメできる1冊ではありませんので、東野圭吾さんをとことんディグりたい方だけ読めばいいと思います。
では、以上となります。
最後まで見て頂き、ありがとうございました。