あらすじ・感想

【あらすじ・感想】東野圭吾の『十字屋敷のピエロ』は、トリックが大胆かつ複雑な傑作でした【ほぼネタバレ無し】

こんにちは、TKです。

今回ご紹介するのは、東野圭吾さんの『十字屋敷のピエロ』です。

当作品では、悲劇を呼ぶピエロの視点から、連続殺人事件の様子が語られていくという物語が描かれております。

簡単な感想から言うと、すごいなと感心しました。

神の視点(読者目線)から事件の一部始終を見ていくというスタイルが、ミステリーだと一般的かと思いますが、今回はなんとピエロの人形視点から語られるんですね。

まあ、普通に神の視点(読者目線)から語られる描写がほとんどなんですけど、重要な場面はピエロの人形視点から語られます。

ピエロの人形は多分こけしくらいのサイズだと思われますので、いろんな所に置かれたり、時には倒れたりと、見渡せる状況がまちまちです。

その状況の違いが推理を面白いものに昇華させているのですが、よくこんなの書けるなあと思いましたね。

改めて、東野圭吾さんの凄さを感じる作品でした。

今回の記事では、あらすじ・登場人物・感想を述べていきますが、ネタバレになるような情報はほぼほぼ無いので、安心して読み進めてください。

『十字屋敷のピエロ』の詳細

作品名十字屋敷のピエロ
著者東野圭吾
発売日1992年
ページ数p328

あらすじ

何者かによって、宗彦が殺害された。

その様子を見ていた人間はいなかったが、近くにはピエロの人形だけが置いてあった。

悲劇を呼ぶと言われているピエロのジンクスが、またしても立証されてしまう。

資産家一族に降りかかる惨劇の様子が、ピエロ人形「僕」の視点を交えながら語り継がれる。

主な登場人物

竹宮水穂 (たけみや みずほ)

主な語り手。

25歳。

竹宮家の十字屋敷に1年半ぶりに帰ってきました。

竹宮宗彦 (たけみや むねひこ)

竹宮産業の社長。

前社長の竹宮頼子の夫。

あまり優秀な人間ではありませんが、芸術関連の熱意・能力は高いです。

竹宮佳織 (たけみや かおり)

宗彦の一人娘。

水穂の従妹。

生まれつき体が弱く、車椅子で生活しています。

竹宮幸一郎 (たけみや こういちろう)

竹宮産業の創始者で、故人。1年半前に病気で亡くなっています。

林業からスタートし、不動産・レジャー産業まで取り扱う竹宮産業を一代で築きました。

竹宮静香 (たけみや しずか)

竹宮産業創始者・幸一郎の妻。

頼子の実母。

所作が上品ねイメージです。

竹宮頼子 (たけみや よりこ)

幸一郎の長女。

冒頭にて、自殺するシーンがあります。

竹宮琴絵 (たけみや ことえ)

幸一郎の長女。

水穂の母。

近藤和花子 (こんどう わかこ)

幸一郎の三女。

近藤勝之 (こんどう かつゆき)

和花子の夫。

竹宮産業取締役。

青江仁一 (あおえ じんいち)

十字屋敷に下宿している大学院生。

佳織に好意を寄せていますが、佳織の方からはあまり好かれていません。

永島正章 (ながしま まさあき)

竹宮家に出入りする美容師。

松崎良則 (まつざき よしのり)

頼子たちの従兄。

竹宮産業取締役。

三田理恵子 (みた りえこ)

宗彦の秘書。

梅村鈴枝 (うめむら すずえ)

竹宮家の家政婦。

悟浄真之介 (ごじょう しんのすけ)

ピエロを追う人形師。

ピエロ

語り手。

悟浄の父が作った人形。

悲劇を呼ぶと言われています。

感想

では、淡々と感想を述べていきます。

事前にトリックがわかる人0人説

当作品では、事件の真相が予想できる材料が所々に散りばめられています。

ゆえに、途中で真相を暴くことも可能なのですが、僕は全くわかりませんでした・・・。

もちろん最後まで読めば分かるのですが、その真相を見た時は、「事前にトリックがわかる人0人説だな」と思いました(笑)。

かなり鋭い方ならわかるかもしれませんが、まあほとんどの方はわからないと思えるくらい大胆で複雑なトリックが仕掛けられています。

こういったレベルの高いミステリーを何作も仕上げてしまう東野圭吾さん、ほんとすごいですね。

ピエロの人形から『卒業』を感じた

東野圭吾さんの他作に『卒業』というものがあります。

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実は『卒業』の中でも、ピエロの人形が出てきます。

ただ、同じ人形ではありませんので、明確な繋がりがあるわけじゃありません。

単に似たような人形が出てくるだけなので、「同じ作者が書いたものなんだな」と感じるだけです。

だから何?と言われたらそれまでなんですけど、なんかこういう淡い繋がりを見つけた時って、1人の作者をディグる嬉しさを感じませんか?

共感して頂ける方がいたら嬉しいです。

最後の最後まで衝撃を与えてくれる

東野圭吾さんの真骨頂として、「終わったと思っていたら終わっていない」という描写があります。

真相の大方が明らかになって、読み手としてはある程度話の大局が見えてくる瞬間がありますよね。

ただ『十字屋敷のピエロ』では、最後の最後まで衝撃を与えてくれます。

ゆえに、読後感にしっかりと浸れました。

まとめ

今回は、『十字屋敷のピエロ』のあらすじ・感想について書いてみました。

トリックがやや難しいですが、ゆえに読み応えのある作品でした。

ミステリーが好きな方ならしっかり楽しめると思います。

では、以上となります。

最後まで見て頂き、ありがとうございました。

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