こんにちは、TKです。
今回ご紹介するのは、東野圭吾さんの『夜明けの街で』です。
当作品では、「不倫相手と家庭のどちらを優先するべきか?」という苦悩が、凄惨な事件を絡ませながら描かれています。
簡単な感想から言うと、切なさと驚きが味わえる傑作でした!
東野圭吾さんとしては珍しくラブ・ストーリーを描いた作品となっていますので、とても新鮮な気持ちで読めました。
また、男の浅はかさや狡さは共感できる部分も多く、男として楽しめる内容でしたね。
『夜明けの街で』では、渡部という男が、派遣社員の中西秋葉と不倫する話が描かれています。
言ってしまえばよくある不倫の構図なんですけど、秋葉はある重大な過去を抱えておりまして、その過去をどう受け止めてあげるかが重要なテーマなんですね。
また、その過去は不明確な部分が多く、渡部としてはかなり悩むわけです。
謎を抱えた好きな女と一緒になるか、それとも今ある家庭を大事にするべきなのかと。
また、恋愛に主軸を置いた作品ではありますが、ラストはしっかり東野圭吾さんの味が出ております。
かなり完成度の高い作品でしたので、読めて良かったなと思います。
今回の記事では、あらすじ・登場人物・感想を述べていきますが、ネタバレになるような情報はほぼほぼ無いので、安心して読み進めてください。
『夜明けの街で』の詳細
作品名 | 夜明けの街で |
---|---|
著者 | 東野圭吾 |
発売日 | 2007年6月30日 |
ページ数 | 391(文庫) |
あらすじ
不倫をする奴は馬鹿だ。
そう思っていた渡部であったが、些細なことをキッカケに、派遣社員である中西秋葉と不倫をしてしまう。
最初は軽い火遊び程度に思っていたが、徐々に秋葉の魅力に溺れていく。
15年前に起きた殺人事件に、秋葉は何かしらの形で絡んでいるようだった。
警察によると、秋葉は犯人だと考えられていた。
そして、事件は間もなく時効を迎える。
謎の女と家庭の間で揺れ動く男の心理を描いた、ラブ・ストーリーとミステリーの融合作。
主な登場人物
渡部(わたべ)
主人公。
30代後半。
日本橋にある建設会社で勤務しています。社員数は25人と小規模な会社。
第一事業本部電気一課主任。
妻と娘がおり、不倫をする奴は馬鹿だと考えています。
中西 秋葉(なかにし あきは)
31歳。
お盆休みが明けた初日に、渡部が勤める建設会社に派遣社員としてやってきた女性。秋葉が来たことで、社員数は26人となった。
15年前に起きた殺人事件に関与していそうなのですが、どういった形で関与しているのかは不明確です。
渡部 友美子(わたべ ゆみこ)
渡部の妻。
カルチャースクールで講師のバイトをしています。
家事と育児を文句を言わずにこなすことから、献身的な印象を受けます。
渡部 園美(わたべ そのみ)
渡部の娘。
幼稚園児。
新谷
渡部の大学時代の友達。
ワンダーフォーゲル部で知り合いました。
妻を女として見ていないというニュアンスの発言をしています。
昔はナンパばかりしていました。
なぜか不倫事情に詳しいですが、それはおまけで明らかになります。
感想
では、淡々と感想を述べていきます。
不倫は絶対NGだなと思える
当作品を読み終わると「もし結婚したら、不倫は絶対やめておこう」という気持ちになります(笑)。
なぜなら、自分を含め多くの人間を不幸にするからです。
たとえ不倫相手と結ばれたとしても、前妻を必ず不幸な気持ちにしてしまいますよね。
また、不倫相手と別れて家庭に戻ったとしても、気まずい結婚生活になるのは確実です。
このようにですね「不倫してもいいことないぞ」という主張を、壮大なストーリーにて東野圭吾さんは示してくれます。
不倫はダメゼッタイです。
この感覚、めっちゃ分かる
ちょっと話しただけなのに、その子のことが気になってしょうがなくなること、人生で一度はありますよね。
その感覚を上手く言語化した描写がありましたので、抜粋してご紹介します。
仕事をしていても、いつの間にか僕は彼女を目の端で捉え、彼女が発する声には耳が敏感に反応した。
それどころか、呆れることに、驚くことに、ほかの男性社員が彼女に話しかけているのを見て、軽く、いやかなり真剣に嫉妬していたのである。
出典:夜明けの街でp39
いやー、この感覚めっちゃわかります。
大して仲良くなっているわけでもないのに、物凄く気になってしまうんですよね・・・。
こういう感覚は久しく味わっていないので、読んでいて懐かしい気持ちになりました(笑)。
決めにいっている言い回しが好き
当作品では、少々決めにいった感じのセリフがあるんですが、そういうのが僕は好きなんですよ。
例えば冒頭では、以下のような言い回しのセリフがあります。
出会いというのは、いつだってそれほど劇的じゃない。少なくとも僕の場合はそうだ。
それは平凡な日常の中に紛れ込んでいる。その出会いが輝きを持つのは、ずっと後になってからだ。
出典:夜明けの街でp8
いやあ、この言い回し好きですね。
何気ない日常を生きていたら、ふとした出会いがあって、そこから壮大なストーリーが始まっていく様子がイメージできます。
こういうカッコよくてわくわくする言い回しが多々あると、この作品好きだなと思えます。
水天宮が出てくると、麒麟の翼を思い出す
当作品では、水天宮という神社が出てきます。
実はこの水天宮、加賀恭一郎シリーズの『麒麟の翼』でも出てくるんですよ。
同じ作者の作品をずっと読んでいると、全く異なる作品だったとしても、どこか繋がるような描写が見つかることがありますよね。
そういう描写を見つけると、なんだかワクワクしませんか?
この気持ち、共感できる方がいたら嬉しいです。
ラストはちゃんと東野圭吾
不倫がストーリーの主軸になっていますが、最期はちゃんと東野圭吾さんらしさが出ています。
つまり、あっと驚くような展開があるということです。
詳細はネタバレになるので言えませんけど、やっぱ東野圭吾さんは、物語の最後の方に強烈な見せ所を作ってくれますよね。
切なくも心地よい読後感を味わえますので、ぜひ最後まで読んでほしいなと思います。
まとめ
今回は、『夜明けの街で』のあらすじ・感想について書いてみました。
僕が大事にしている「切なさ」をしっかり描いてくれていたので、とても心に残る傑作でした。
オススメの作品ですので、読んだことがない方はぜひ読んでみてください。
では、以上となります。
最後まで見て頂き、ありがとうございました。