あらすじ・感想

【あらすじ・感想】東野圭吾の『ある閉ざされた雪の山荘で』は、ゾッとする瞬間を楽しむための作品でした【ほぼネタバレ無し】

こんにちは、TKです。

今回ご紹介するのは、東野圭吾さんの『ある閉ざされた雪の山荘で』です。

当作品では、『四季』というペンションを「閉ざされた雪の山荘」と見立てて、その中で7人の役者たちに共同生活を送らせ、ある作品の役作りの糧とするという物語が描かれております。

内容を簡単に説明すると、急に劇団の先生から「この日にこのペンションに集まりなさい」という手紙が、オーディションを通過した役者に送られます。

そして、集まったペンションでさらなるオーディションが行われるんですけど、そのオーディションの内容が、連続殺人を見立てたものなんですね。

ただ、その内容があまりにもリアルすぎて「これ、ホントに人が死んでない?」という疑心暗鬼に包まれるわけです。

つまり、本当に人が死んでいるのか、それともただのオーディションなのか、というドキドキ感が楽しめる内容となっております。

簡単な感想から言うと、ゾッとする瞬間を楽しむための作品だと思いましたね。

物語の後半である単語だけが太文字になっているんですけど、それを見た瞬間は結構ゾッとします。

実は当作品は映画化もされておりまして、僕は先に映画から観ています。

映画と小説、どっちの方が良かったかと言うと、小説の方が良かったです。

小説の方が語り手の役割を果たしている「久我和幸」の心情がちゃんと描かれていますので、より没入できるんですよね。

また、「ある単語だけが太文字になっている」という描写は映画では再現できていないので、やはり小説の方がオススメです。

今回の記事では、あらすじ・登場人物・感想を述べていきますが、ネタバレになるような情報はほぼほぼ無いので、安心して読み進めてください。

『ある閉ざされた雪の山荘で』の詳細

作品名ある閉ざされた雪の山荘で
著者東野圭吾
発売日1992年3月
ページ数292(文庫)

あらすじ

7人の役者たちが、オーディションのため『四季』というペンションに集合させられた。

そこは「ある閉ざされた雪の山荘」という設定となっており、外部と連絡を取ったものは失格となる。

初日にメンバーの1人が消えてしまうが、現場には「この人は殺されて消えたが、あくまでもこれは設定だ」という趣旨の手紙が残されていた。

しかし、次々と発生する不可解な自体に、これはただのオーディションではないことを面々は悟っていく。

本当に人が死んでいるのか、それともただのオーディションなのか。

愛と憎しみが交差する密室ミステリー。

主な登場人物

東郷 陣平(とうごう じんぺい)

劇団『水滸』の演出家。

突然手紙にてペンションに7人の役者を集めて、共同生活を送らせました。

笠原 温子(かさはら あつこ)

ペンションに集合した役者の1人。

東郷とデキているという噂があるが、真偽は不明です。

元村 由梨江(もとむら ゆりえ)

ペンションに集合した役者の1人。

演技力は無いが、美貌はある女性です。

父親が財界とつながりを持っており、劇団を全面的にバックアップしていることから、贔屓にされている印象です。

雨宮 京介(あまみや きょうすけ)

ペンションに集合した役者の1人。

まあまあの演技力があるくらいの印象で、取り立てて強い印象はありません。

本多 雄一(ほんだ ゆういち)

ペンションに集合した役者の1人。

リーダーシップがある男ですが、演技の実力はまあまあといったレベルです。

田所 義雄(たどころ よしお)

ペンションに集合した役者の1人。

由梨江に強い好意を抱いています。

プライドが高く器が小さいという小物感溢れるキャラでして、大抵の人が嫌悪感を抱くかと思います(笑)。

中西 貴子(なかにし たかこ)

ペンションに集合した役者の1人。

優れた美貌とスタイルを持っている女性です。

あまり知的ではありませんが、時折本質をつくこともあります。

久我 和幸(くが かずゆき)

ペンションに集合した役者の1人。

他の6人とは所属している劇団が異なるので、周りとは基本敬語で会話します。

由梨江に対して好意を抱いており、同じ想いを抱く田所を敵視しています。

由梨江に近づくために、水滸のメンバーでなくても参加できるオーデションに申し込んだら受かったので、今回参加することとなりました。

感想

では、淡々と感想を述べていきます。

ゾッとする瞬間が最高

『ある閉ざされた雪の山荘で』の後半では、ある一行のある単語だけが太字になっているんですね。

もちろん詳細はネタバレになるので控えますけど、それを見た瞬間に「うわ、そういうことか」とゾッとした気分を味わえます。

個人的には、これが最高に感情が高まった瞬間でした。

こういう感じで、一行で全てをわからす系はめっちゃ好きですね。

田所の小物感が良い

当作品では、7人の役者たちによる緊迫感のある生活が描かれているのですが、その役者たちの何人かは全然キャラが立っていないんですよね。

特に雨宮に関しては、ほとんど印象がないです。

ただ、極めて印象に残ったキャラがいまして、それが田所です。

田所はプライドが高く、器が小さく、常に人を見下すような態度を取っているので、良くも悪くもめっちゃ印象に残ります(笑)。

決して好きなキャラではありませんが、他の人物もこれくらいキャラを立ててほしかったなと思いましたね。

ある一言が、めっちゃ伏線になっている

実は、ある人物が序盤で何気なくいう一言が、めっちゃ伏線になっています。

僕は映画を先に観ていたのでそれが伏線だと気がつけましたが、ほとんどの方は気がつけないかなと思います。

この伏線、なかなか核心に迫るものなので、余裕のある方は2周目にチャレンジしてほしいですね。

きっと2周目を読んでいる時に、「ここに答え書いてあったじゃん・・・」となりますよ。

まとめ

今回は、『ある閉ざされた雪の山荘で』のあらすじ・感想について書いてみました。

ある一行にゾッとする瞬間はなかなか快感でしたので、一瞬の感動が好きな方はぜひ読んでみてください。

では、以上となります。

最後まで見て頂き、ありがとうございました。

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