あらすじ・感想

【あらすじ・感想】東野圭吾の『夢幻花』は、切なくも没入できる傑作でした【ほぼネタバレ無し】

こんにちは、TKです。

今回ご紹介するのは、東野圭吾さんの『夢幻花』です。

当作品では、花作りに没頭していた老人が突然殺された事件の真相を、若い男女が解明していくという物語が描かれております。

簡単な感想から言うと、切なくも没入できる傑作でした。

もっと素直な言葉で評価すれば、すごく好きな作品でしたね。

冒頭である男の子と女の子が出会って、その後急な別れが来るシーンがあるんですけど、読んでいて心が切なくも穏やかになりました。

切なさって、なんだか心を落ち着かせてくれましたよね。

そして肝心のストーリーですが、めちゃくちゃ没入感があります。

少しずつ事件の真相に迫っている様子がこの上なく上手に表現されていますので、途中で読む手を止めるのが難しい作品でした。

感覚的にも理論的にも優れた作品でして、個人的な評価はかなり高いです。

自信を持ってオススメできる内容でした。

今回の記事では、あらすじ・登場人物・感想を述べていきますが、ネタバレになるような情報はほぼほぼ無いので、安心して読み進めてください。

『夢幻花』の詳細

作品名夢幻花
著者東野圭吾
発売日2013年4月15日
ページ数476(文庫)

あらすじ

祭で出会った女の子が、突然の別れを告げてきた。

14歳の少年は切ない思い出を胸にしまい込み、やがて大学生へと成長していく。

就職先に悩んでいたある日、成り行きで「花が好きな老人が殺される」という不可解な事件を調査することになる。

なぜ老人は殺されたのか。

あの日出会った女の子は今どこで何をしているのか。

切なくも没入できる傑作ミステリー。

主な登場人物

蒲生 蒼太(がもう そうた)

主人公。

冒頭では14歳。

14歳の頃に祭で伊庭孝美という女の子と出会い仲良くなるが、親から別れろと言われます。

結局別れようとはしなかったが、孝美の方から急に別れを告げられます。

後半では大学生となります。

大学では原子力の勉強をしていますが、原発事故が起きたことから「こんな勉強に時間を割かなきゃよかった」といった感じで後悔します。

蒲生 真嗣(がもう しんじ)

蒼太の父。

警察官。

蒲生 要介(がもう ようすけ)

蒼太の兄。

蒼太より13才年上。

高学歴で公務員でイケメンです。

蒲生 志摩子(がもう しまこ)

蒼太の母。

伊庭 孝美(いば たかみ)

祭で偶然蒼太と出会った女の子。

蒼太と何回か会って遊んでいたが、突然別れを告げてきました。

秋山 梨乃(あきやま りの)

東京の高円寺の女性用マンションで暮らす大学3年生。

今回の事件を蒼太と一緒に追う、いわば相棒のような存在です。

水泳でオリンピックを目指せるほどの才能がありましたが、あることを理由に水泳を辞めてしまいます。

秋山 正隆(あきやま まさたか)

梨乃の父。

鳥井 尚人(とりい なおと)

梨乃の父方の従兄。

厳密には、父の妹の長男。

人気アマチュアバンド「ペンデュラム」のキーボード。

ある日、自宅マンションから飛び降りて自殺しました。

鳥井 知基(とりい ともき)

尚人の弟。

尚人が自殺したことに心当たりが全くない様子です。

秋山 周治(あきやま しゅうじ)

梨乃の祖父。

今回の被害者。

久遠食品研究開発センターの分子生物学研究室(当時の研究室の名前は「植物開発研究質」)に勤めていました。

自宅で過ごしていたら、何者かに絞殺されてしまいました。

大杉 雅哉(おおすぎ まさや)

尚人と同じバンドのメンバー。

早瀬 亮介(はやせ りょうすけ)

西荻窪署の刑事。

女性警官との浮気が原因で、家族と別居状態になっています。

早瀬 裕太(はやせ ゆうた)

亮介の息子。

中学生。

万引きの冤罪で捕まったが、それを秋山周治が弁明してくれたので、周治には心底感謝しています。

福澤 民郎(ふくざわ たみお)

久遠食品研究開発センター 分子生物学研究室 室長。

日野 和郎(ひの かずお)

久遠食品研究開発センターにて、かつて周治と共同で研究をしていた男。

感想

では、淡々と感想を述べていきます。

自信を持ってオススメできる作品

まずお伝えしたいのは「自信を持ってオススメできる作品」だということです。

僕は、どんな作品もベタ褒めするようなことはしません。それは、他の記事を読んで頂ければ分かるかと思います。

まあ、東野圭吾さんの作品は良いものが多く、褒め口調のものが多くはなっていますが・・・。

今回紹介している『夢幻花』はその中でも、トップクラスに良かったです。

何が良かったのかは、以降で説明していきます。

切ない描写がグッとくる

僕はとになく、切なさが好きです。

主人公の蒼太は中学生の頃、家族と行った祭である女の子と出会います。

その後何度か会って仲を深めることができたのですが、急に別れが来てしまいます。

たったこれだけの描写なのですが、僕はすごく切なくなりましたね。

偶然仲良くなった女の子って、なんでかわからないですけど、心の底から愛おしくなるんですよね。

そして、そういう子ほどすぐに別れが来てしまいます。

切ない系の話が好きな人は、冒頭で絶対に惹き込まれますよ。

科学的な記述に感心した

『夢幻花』のテーマは、花です。

ゆえに、花に関する様々な話が出てくるのですが、その中でも感心した記述がありました。

それは、バイオテクノロジーの話です。

「細胞融合・遺伝子組換え・放射線による突然変異」といったように、科学的な話がたくさん出てきます。

ここに、東野圭吾さんの凄さを感じますよね。

東野圭吾さんは科学技術に精通していますから、他作品でも科学的な話は度々書かれていますが、今回も感心するほど細かい描写がありました。

シンプルに、とても勉強になります。

道徳的な話もありました

詳しくはご自身の目で確認してほしいですが、『夢幻花』には道徳的な主張が散りばめられています。

いき過ぎた科学技術に対する主張もあれば、人生を力強く生き抜くために欠かせない主張もあったりと、いずれも人生観に影響を与えてくれましたね。

そういった主張を壮大なミステリーに交えて伝えてくれる東野圭吾さん、ホント凄すぎます・・・。

まとめ

今回は、『夢幻花』のあらすじ・感想について書いてみました。

「切なさ・道徳・ミステリー・花に関する知見」といったあらゆる要素が楽しめる傑作でしたので、ぜひ読んでみてください。

では、以上となります。

最後まで見て頂き、ありがとうございました。

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