あらすじ・感想

【あらすじ・感想】東野圭吾の『さいえんす?』は、東野さんの内面を知れる新鮮な本でした【ほぼネタバレ無し】

こんにちは、TKです。

今回ご紹介するのは、東野圭吾さんの『さいえんす?』です。

当作品は、日常の疑問や社会の課題など、あらゆる事柄を東野さん独自の視点で語っているという内容となっております。

東野圭吾さんはミステリー作家というイメージが強いですが、実はエッセイも書かれているんですね。

今回ご紹介する『さいえんす?』に収録されているエッセイは、『ダイヤモンドLOOP』と『本の旅人』という雑誌にて連載されていたものです。

ちなみに、いずれの雑誌も今は休刊となっております。

簡単な感想から言うと、タイトル通り科学的なエッセイが数多く掲載されておりまして、なかなか面白かったですね。

また、ページ数は192と短く、気軽に読むことができます。

タイトルに「?」がついていますが、その理由はおそらく、科学からズレた話もあるからだと思われます。

例えばプロ野球を考察した話があるのですが、これは科学的な話というよりは、ファンによる考察みたいな感じでした(笑)。

まあ、論理的な考察がされていますので科学的とも言えますが、サイエンスという雰囲気じゃなかったですね。

こんな感じで、東野圭吾さんの思考が垣間見える珍しい本ですので、読んでみる価値は大いにありますよ。

今回の記事では、読んで感じたことをいくつか語っていきます。

気軽に読んで頂ければ幸いです。

『さいえんす?』の詳細

作品名さいえんす?
著者東野圭吾
発売日2005年12月25日
ページ数192

感想

では、淡々と感想を述べていきます。

男が勘違いしてしまう原因

これは読んでいてなるほどと思わされたのですが、東野圭吾さんは本書の中で、女性のパーソナルゾーンについて考察されていました。

パーソナルゾーンというのは、侵入されると警戒心を抱くゾーンのことを意味しています。

つまり、このゾーンが広いと警戒心が強く、ゾーンが狭いと警戒心が弱いとされています。

実はこのパーソナルゾーン、男性よりも女性の方が狭いとされているんですね。

距離感が近い女の子に対して、「この子、俺のこと好きなんじゃね?」という想いを抱いたこと、男なら一度はあるものですが、それは勘違いの可能性が高いらしいです…。

まあ、こういう勘違いから何かが始まることもありますから、勘違いそのものが悪いとは思いませんが。

地味でもいいから、難しくてもいいから、リアルを書いてほしい

東野さんは大学で電気工学を学び、その後技術者として働いた経歴があります。

このことから、科学的な要素を交えた作品が多いのですが、実はちょっとした悩みもあるようです。

それは、実際の現場は地味であるということです。

リアリティのある現場を描くこともできるのですが、そうすると編集者に「地味だね」と言われてしまうこともあるようです。

これは賛否両論あると思いますが、僕は極力リアルに書いてほしいと思う派です。

理解できるかどうかは別として、リアリティがあればあるほど確かな熱量を受け取れますからね。

例えば東野さんの作品に『卒業』というものがあるのですが、これはかなりリアリティがありました。

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正直に言うと、描写が細かすぎて理解できない部分も多かったですが、それゆえに印象には残る作品でしたね。

簡単すぎてもいけないし、難しすぎてもいけない。

そこの塩梅を見極める苦労をしながら、今日も東野さんは作品を生み出し続けています。

絶滅種の復活に、意味はあるのか?

絶滅種を人間の手によって復活させようとする試みがありますよね。

一見素晴らしい取り組みにも思えますが、その取り組みに東野さんは苦言を呈していました。

なぜなら、たとえ絶滅種を復活できたとしても、自然環境も復活できなければ意味がないからです。

そもそも、なぜ絶滅種は絶滅したのか?それは、生きられない自然環境になったからですよね。

したがって、自然環境の事情を放置して絶滅種を復活させても、彼らは幸福に生きることはできません。

絶滅したということは、絶滅するだけの要員があるわけです。

もちろん、主な要因は人間の活動にありますから、しょうがなかったよねと他人事のように片付けてもいけません。

何かしらの犠牲の上に人間の生活が成り立っているということ、僕たちは日々噛み締める必要があると感じました。

まとめ

今回は、『さいえんす?』の感想について書いてみました。

普段はミステリー作品しか読まないので、すごく新鮮な気持ちになれましたね。

また、東野さんのある作品に直結するような考察もありましたので、作品を多く知っている方はより楽しめる本だと思います。

では、以上となります。

最後まで見て頂き、ありがとうございました。

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