あらすじ・感想

【あらすじ・感想】東野圭吾の『希望の糸』は、生きる希望を感じさせてくれる傑作でした【ほぼネタバレ無し】

こんにちは、TKです。

今回ご紹介するのは、東野圭吾さんの『希望の糸』です。

当作品では、喫茶店のオーナーが何者かに刺殺された事件の真相を、松宮が自身の境遇と重ねながら暴いていくという物語が描かれております。

『希望の糸』は加賀恭一郎シリーズですから、当然ですが、加賀も捜査にガッツリ加わっています。

ただ、今回の事件に関してはですね、相棒の松宮が主人公っぽい描かれ方をしています。

簡単な感想から言うと、読み終わった後に希望を抱かせてくれる傑作でした。

人生を生きていれば、家族・親友・恋人といった深い繋がりを築いた人と、遠く離れ離れになってしまうことがあります。

ただそれでも、僕たちに確かな希望はあるということを、『希望の糸』は語りかけてくれるようでした。

まあ、詳細を語るとネタバレになってしまうので、ザックリとした表現に留めておきますね。

また、今回の話は加賀や松宮のことを深く知っていた方が楽しめますので、彼らがタッグを組むようになった『赤い指』から順に読んでおくことをオススメしておきます。

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ちなみに『赤い指』はシリーズの7作品目で、『希望の糸』は11作品目です。

そう考えると順に読むのがちょっと大変ですが、順に読んだ方が絶対に没入できますので、できれば順に読んでみてください。

今回の記事では、あらすじ・登場人物・感想を述べていきますが、ネタバレになるような情報はほぼほぼ無いので、安心して読み進めてください。

『希望の糸』の詳細

作品名希望の糸
著者東野圭吾
発売日2019年7月5日
ページ数464(文庫)

あらすじ

喫茶店のオーナーが何者かに刺殺された。

被害者の人物像を捜査していけば捜査していくほど、善良な人柄が明るみとなる。

一方で松宮は、プライベートにてある転機を迎えようとしていた。

「私のよく知っている人物が、あなたは自分の息子だと言っています」

面識のない女性から聞かされた話に、松宮は動揺する。

なぜ事件が起きたのか。

なぜ急に父親と名乗る人物が表れるのか。

その真相の裏には、希望の糸が垂れていた。

主な登場人物

松宮 脩平(まつみや しゅうへい)

警視庁捜査一課に所属している刑事。

加賀恭一郎の親戚でもあります。

松宮の母(克子)には兄がいて、その兄の名前は加賀隆正と言います。隆正は、加賀恭一郎の父です。

いつもは加賀の相棒役、つまりは脇役として描かれていますが、今回は主人公的な描かれ方をしています。

加賀 恭一郎(かが きょういちろう)

警視庁捜査一課に復帰した刑事。

これまでは主人公として描かれていた人物ですが、今回は脇役的な立ち回りに終始します。

事件の真相をうやむやにすることに極度の嫌悪感を示す人物で、真相を突き止めることには一切の妥協を許しません。

花塚 弥生(はなづか やよい)

今回の被害者。

五十一歳。

『弥生茶屋』というカフェの経営者。

綿貫哲彦と結婚しましたが、現在は離婚しており子どもはいません。

多くの常連から好印象を抱かれており、殺されるような人物には見えません。

綿貫 哲彦(わたぬき てつひこ)

弥生の元夫。

弥生と離婚した後しばらくしてから、多由子という別の女性と事実婚の状態になっています。

中屋 多由子(なかや たゆこ)

哲彦の内縁の妻。

汐見 行伸(しおみ ゆきのぶ)

建設会社にて勤務。

妻の玲子とは、社内結婚にて結ばれました。

新潟にある実家に子供たち二人だけで行かせたら、大地震にあい、不幸にも亡くなってしまいます。

汐見 玲子(しおみ れいこ)

行伸の妻。

子どもを失ったことで、かなりの落ち込みを見せます。

ただ、その後に不妊治療に励んだことで子宝に恵まれ、メンタルは一気に回復しました。

汐見 萌奈(しおみ もな)

行伸の娘。

中学生。

不幸な大地震の後に産まれたので、兄と姉には会ったことはありません。

大地震による悲劇を経験した両親からは、あまりにも過保護な対応をされるので、窮屈さを感じながら生活しています。

芳原 亜矢子(よしはら あやこ)

代々受け継がれてきた料亭「たつ芳」の女将。

仕事一筋で生きてきたので、気づいたら独身のまま40歳を迎えてしまったと、ちょっぴり後悔しています。

父の遺書から、生き別れになっている兄弟がいるかもしれないことに気が付きます。

芳原 真次(よしはら しんじ)

亜矢子の父。

ガンに侵されており、余命はほとんどないと思われる状態です。

娘に介護をさせまいと、自宅での療養を頑なに断る愛情と意地があります。

感想

では、淡々と感想を述べていきます。

元気な時に読んでください!

最初に言っておきたいのは、「元気な時に読んでください!」ということですね。

なんでかと言いますと、序盤で幼い子どもが亡くなるからです。

さらに、両親が見ていられないほど落ち込んでしまうので、読んでいて気分が沈んでいきます。

言葉の力って結構強いので、感受性が強い人は読んでいてメンタルが病むかもです。

なので、心身が元気な時に読むことをオススメします!

希望を感じさせてくれる描写が、好き

『希望の糸』という作品名からわかるように、当作品には希望を感じさせてくれる描写が散りばめられています。

僕は、希望を感じさせてくれる描写が凄く好きなので、『希望の糸』はとても気に入りましたね。

なんで希望を感じさせてくれる描写が好きかと言うと、どんな状況の中でも前を向いて生きられるような気がするからです。

希望が胸にあるだけで、困難な現実も力強く乗り越えていける感覚があるんですけど、わかりますかね・・・?

ちょっと曖昧な表現で申し訳ないですが、この想いに共感して頂ける方は、『希望の糸』を絶対に気にいるはずです。

違和感が真実にたどり着く鍵になる?

当作品では、違和感を大事にする描写があるんですけど、その描写がとても気に入っています。

途中で事件の犯人が分かるんですけど、その犯人の供述にある違和感があるんですよ。

供述自体は筋が通っていて、それを鵜呑みにして事件を終わらせてもいいわけです。

ただ、松宮はその違和感を無視せず、納得いくまで捜査を続けるんですね。

僕はこの、違和感を無視しない姿勢に魅力を感じました。

人生の中で、違和感を抱くことっていくらでもありますよね。

ただ、違和感は違和感にすぎないので、無視してしまうことも多いです。

ただ、違和感とちゃんと向き合うことで、本質にたどり着けると思うんですよね。

なにか違和感を覚えた時は、ちゃんと向き合っていきたいです。

表面的なことを見て、わかったと思ってはいけない

当作品の中では、かなり複雑な家族模様が描かれています。

ただその家族はですね、表面的に見れば普通の家族なわけです。

しかし、周りの方は複雑な事情など知りませんから、何事もないように接してきたり、悪気もなく言ってはいけないことを言ってきたりします。

ちょっと曖昧な表現になってしまいましたが、誰だって内に秘めた複雑な事情ってありますよね。

だからこそ僕は、わかったようなことを言うのは極力控えています。

本当にわかっていることなんて、そんなに多くないと思うからです。

こういった深い内面を鮮明に描写してくれる東野圭吾さんの作品は、今後も目が離せません。

まとめ

今回は、『希望の糸』のあらすじ・感想について書いてみました。

悲しい描写もありますが、最後には必ず希望を抱かせてくれる作品でしたので、僕は好きですね。

繰り返しになりますが、『希望の糸』は加賀や松宮のことを深く知っていた方が楽しめますので、彼らがタッグを組むようになった『赤い指』から順に読んでおくことをオススメしておきます。

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では、以上となります。

最後まで見て頂き、ありがとうございました。

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